My diary.

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GTX TITANレビュー ゲーム編(自作PC始めました:連載第16回)

私は自作PCにGTX TITANを搭載しています。今回は所有するiMacGPU、GTX660Mと比較してレビューさせていただきます。

はじめに

私は自作PCを組み立てる以前、iMacのBootCampを利用してWindows向けゲームをプレイしていました。搭載するGPUはGTX660M。2012年にNVIDIAが発表したKeplerアーキテクチャを採用したミドルレンジGPUのモバイル版です。同時期にappleが発表した3種の27インチiMacのシリーズでは下位モデルに相当し、占有グラフィックメモリは512MBです。

GTX660M自体は非常に優秀なGPUで、過去に購入したゲームの大半は適切な設定さえ行えば問題無くプレイする事が出来ました。ただし刻々と進化するゲームエンジンやエフェクトを利用した描画のプロセスは時にユーザーが所有するPC構成の根本的な見直しを迫る場合があります。ミドルレンジのモバイル版でも案外大丈夫、そんな私の想いを打ち砕いたのが2014年末に登場した「あの」ゲームです。

「Assasin's Creed Unity」発売

その描画の重さで世界中のPCゲーマーを苦しめたUbisoftの人気シリーズ「Assasin's Creed Unity」は、良くも悪くもユーザーが所有するGPUグラフィックカードの試金石になったと思います。最低でもGTX680が必要というハードルの高さは各方面で物議を醸しました。UbisoftNVIDIAと提携してタイトル開発にあたっており、丁度このタイミングで新製品GTX980及びGTX970が発売された事を鑑みると、新作グラフィックカードへの買い替えを促進させる目的も少なからずあったのではないかと邪推してみたくなりますが、いずれにせよ当時多くのユーザーが満足な描画とfpsを得られず、ふるいにかけられたのは確かです。

私は「Assasin's Creed」シリーズが好きで、このタイトルも是非プレイしたいと思っていました。ところが前述の通り、所有するiMacのGTX660Mは最低動作環境に達していません。メーカーが公表するOSのバージョンやCPU構成を含んだ最低・推奨動作環境は、ゲームの動作保証及び描画レベルの判断基準として非常に重要です。所有するPCの性能がこの環境を満たさない場合、ゲームの起動やプレイに不具合が生じる可能性があります。

それでも私は諦めきれず、設定次第で何とかなるのではないかという淡い期待を抱いて「Assasin's Creed Unity」を購入する事にしました。動作環境を満たしていないのは承知の上で、どれほど描画性能が追い付かないのか確認してみたかったという「怖いもの見たさ」の気持ちも半分ありました。

GTX660Mの限界

結果はやはり散々で、案の定GTX660Mでは歯が立ちませんでした。ゲーム自体は起動しますが、タイトル画面でカーソルを動かすだけでも異様なタイムラグが生じます。何とかゲーム内設定画面に辿り着き、そこで画面解像度を最低に落とし、エフェクトを切り、全ての描画設定を最低まで落としてみたのですが、プレイ中は終始カクツキが頻発しコマ送り状態で、特に室内の場面では操作が困難になる程fpsが低下しました。一言で言うと「不快なゲーム体験」です。

後にゲームの最適化に不備があった事をUbisoft側が認め、数度のパッチ配信が行われましたが、描画の重さは相変わらずでした。コマ送りと闘いながら何とかストーリーは進めたものの、PC版ではグラフィックカードが最低動作環境を満たしていないと中盤のベレック戦において無限ループが発生する現象があり、私はそこで手詰まりとなってしまいました。

連載冒頭で書かせていただいた通り、iMacGPUはアップグレード不可能です。ドライバや設定で解決する事が出来ない決定的な状況に直面した私はここでGTX660Mの限界を認め、新たにグラフィック性能に特化したPCを自作する事にしたのです。

「Assasin's Creed Unity」におけるGTX TITANの動作検証

1台のPCでPhotoshopや3DCG、そしてゲームを楽しみたかった私は自作PC用のグラフィックカードに中古のGTX TITANを購入しました。演算処理に優れるGPUをGeForceGTXシリーズに転用したという経緯を持つ製品なので純粋にゲーム向けという訳ではありませんが、発売当時はGeForceGTXシリーズでシングル最強と謳われたハイエンド製品です。GTX660Mの惨敗を目の当たりにしている私は早速自作PC完成後「Assasin's Creed Unity」を立ち上げてみました。OSはWindows8.1、モニター解像度は1920×1080のフルHD1枚という環境です。

まず気になったのはゲームをランチャーから立ち上げると暗転後一旦デスクトップに戻されるという事です。以前は無かった現象だけに悩みましたが、タスクバーのアイコンをクリックするとようやく画面が切り替わります。マザーボードグラフィックカードHDMI接続、もしくはUbisoft謹製のUplayに原因があるのかもしれませんが、すんなり始まらないので少し不満が残る部分です。

実際にプレイしてみると、描画やfpsについてはまさにハイエンドの面目躍如という向上が認められました。今までは切るか最低に落としていたグラフィックを全て最高設定してもカクつく事は無くなり、室内も無難に描写します。そしてGTX660Mの鬼門となったベレック戦における無限ループも一切発生しなくなり、無事にエンディングまで辿り着くことが出来ました。

このゲームでは最近登場したTXAAやHBAO+などのエフェクト類が重く、全てをオンにしてグラフィックを最高設定にした状態で安定したfpsを得ることが出来るグラフィックカードはこのGTX TITANを含め数種類しかありません。NVIDIAはこれらの推奨設定を1920×1080の解像度で算出しているので、4Kなどの高解像度モニターで同ゲームをプレイしたい場合はグラフィックカードのSLI構成を視野に入れる必要があるでしょう。

何よりも嬉しかったのは以前「お使いのグラフィックカードはこのゲームの最低動作環境を満たしていません」と表示され、グレーアウトしていたGeForce Experienceでの各種設定がGTX TITANでは普通に出来るようになった事です。考えてみれば当たり前の話ですが、ハイエンドのグラフィックカードを手に入れ、最新ゲームを最高設定で動作させる事が出来たという事実に改めて感動を覚えました。

 その他のゲームにおける動作状況(モニター解像度はフルHD

SKYRIM

SKYRIM」はバニラ状態でプレイする分には比較的負荷が軽いタイトルだと言われています。実際iMacに搭載されたGTX660Mでも適切な設定さえ行えばPC版の醍醐味であるMODを導入してもプレイする事が可能です。ただし占有グラフィックメモリが512MBという関係上、2048以上の高解像度テクスチャMODを圧縮せずに多数導入するとfpsが低下し、カクツキが頻繁に発生します。さらにENBを併用すると明らかにスペック不足に陥るので、GTX660MでのENB導入は諦めていました。

GTX TITANにはグラフィックメモリが6GB搭載されているので、今回は上記の理由で敬遠してきたENBを新たに導入してみました。その結果は衝撃的で、無圧縮の高解像度テクスチャを併用しても50~60のfpsを維持してプレイする事が可能となり、正に驚異と呼べるグラフィックに変貌します。

SKYRIM」自体はXbox360版を含めると過去に1200時間ほどプレイしています。ただしこれほどの高画質が体験出来たのは今回が初めてです。もしさらに上を目指す場合はNVIDIAの新技術DSRを利用しても良いのですが、高解像度テクスチャMODとENBを併用する場合はいくらGTX TITANでも4K相当の解像度へのアップ&ダウンサンプリングは負荷が大きく、fpsは目に見えて低下するので注意が必要です。

ちなみに私は最近SKSEからゲームを起動出来ない不具合に見舞われましたが、GeForceExperienceをアンインストールする事で解決しました。アップグレードによる競合が原因のようです。念のために申し上げますが、ENBやMODの導入は完全なる自己責任の世界です。使用方法によってはお使いのPCに深刻な損傷を与える場合があります。くれぐれもご注意を。

Metal Gear Solid V: The Phantom Pain」

 個人的には世界に存在感を示した日本ゲームの筆頭だと思います。最低動作環境はGTX650(2GB)で、推奨環境はGTX760となっており、ミドルレンジクラスのグラフィックカードであれば十分に楽しむことが可能でしょう。GTX TITANの場合はGeForce Experienceで各設定を最高まで引き上げ、かつDSRを併用する事が推奨設定となっています。余談ですが数年前に発売された「Far Cry3」でも最高設定とDSRオンが推奨となっています。

アクションゲームではシビアな入力が要求される場面に多く遭遇しますが、そのような状況でもGTX TITANはフレームレートを低下させる事無く、余裕を持ってゲームを描画している事が分かります。

まとめ

今回はゲーム描画におけるGTX TITANの揺るぎない性能とパワーを確認できて良かったと思います。中古品故に心配していた初期動作不良等は一切発生せず、これで不安は全て解消されました。

一般にハイエンドのグラフィックカードTDPが高く、発熱量が大きくなる傾向があります。2015年の夏は歴史的な酷暑で、高TDPのパーツを組み込んだ自作PCユーザーにとって極めて過酷な状況となりました。標準ファンを一基搭載しているだけのGTX TITANは時折PCケース背面から非常に暖かい空気を排出する事があったものの、描画負荷の高いゲームも無事に稼働させる事が出来ました。ただし使用中は適度な室温調整が欠かせません。

標準搭載のファンは小口径ですが冷却性能はまず問題無いと言えます。高負荷を連続して与え続けるような使い方はしていないので本体の温度やファンの駆動音が最高でどれくらいまで上昇するのかはまだ分かりませんが、逆に言うとGTX TITANが本気を出す場面は通常使用時に於いてはあまり無いようです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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