My diary.

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HF Playerに乗り換えました(appleの話:連載第4回)

はじめに

iOS8.4が配信されました。最大の特徴はApple Musicへの対応とそれに伴うインターフェースの大幅な変更です。すでにApple Musicの3ヶ月無料トライアルメンバーシップを始めた方もいらっしゃると思います。私は所有するiPad2iPhone5sで更新を行いましたが、以前のMusicアプリから大きな変貌を遂げたインターフェースに戸惑いました。

iOS8.4の変更点

iPhone5sのインターフェースのレイアウトを例にとると、画面上部でライブラリとプレイリストの切り替えが出来るようになり、左上にはアカウント表示用のアイコンが置かれています。アカウント画面に移動すると、以前ライブラリに収録していたアーティストは自動的にフォローしている状態になっていました。一方プレイリストの表示に関しては以前のiOSとさほど違いは感じられません。さらにホーム画面右上に位置する虫眼鏡のアイコンをタップすると検索がかけられます。検索結果はApple Musicとマイミュージックのカテゴリに分類されていました。

今回のiOSアップデートでapple純正の音楽再生アプリはネットへのアクセスを頻繁に行う設計を施されて生まれ変わりました。私のようにiMacから同期したライブラリの再生専用装置という単純な役割を与えていた方は、新たに増えたアイコンを不用意に触ってしまうと予期せぬアクセスによるデータ通信が発生してしまう可能性があるので注意が必要です。

ホーム画面下部に今回のアップデートの目玉と言えるアイコンが並んでいます。新たに加わったFor YouとNew,そしてRadioがApple Musicのセールスポイントになるのでしょう。appleは今後月額登録制の音楽配信に積極的に力を入れていくようですが、私にとって残念なのはiOS8.4にアップグレードするとアルバムアートワークが極小表示になってしまう点です。

アートワークが楽しめなくなった理由

以前のバージョンで楽しんでいたiPhoneを横に傾けると全アルバムジャケットが一度に表示されるカバーフロー機能はiOS8.4で廃止されました。また縦方向での使用中においても画面一杯にアルバムアートワークが表示されることはなくなりました。唯一表示されるのは再生中にスリープから復帰した時のみです。これが判明した時に私はアップデートした事を後悔しました。

appleが仕掛けたこうした変更や変化の要因の一つにApple Watchとの連携が挙げられると思います。確かにappleが提案する「iPhone本体で操作しない」という図式に従う場合には、携帯中のiPhoneは常にカバンの中かポケットにしまわれた状態になるので、大画面でアートワーク表示を目にする機会は無くなります。

Apple Musicについて

Apple Musicで実現するクラウド上の数え切れない様々なジャンルの音楽を聴く事が出来るという方式は、現代の楽曲販売状況を鑑みると必然の進化なのかも知れません。あまり世界の音楽に詳しくないリスナーの方はキュレーターの提案する楽曲によって一気に見識が広がることもあるでしょうし、お気に入りのアーティストがApple Music限定で特別に配信する楽曲やコンテンツに期待を寄せる方も多いと思います。これからのappleユーザーはApple WatchとApple Musicを利用して手元でカジュアルに音楽を楽しむ、そんな方向性がappleから示されたように感じました。

しかしながらその一方で私のように今後Apple Watchを使用する予定が無く、月額料金が発生するApple Musicには共感できず、以前のように自分で入れた好きな音楽とアートワークだけを単純に楽しみたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私の決断

私は自作PCを作成した時の感覚を思い出しました。appleが好きであってもその全てに盲目的に従う必要は無く、ただ自分が望む方向を間違えなければ不満は生まれません。私は今一度自分の中のapple縛りを捨て、iPhone5s上のapple純正音楽再生アプリと決別する事にしました。Appストアには以前から音楽再生アプリが無料で配信、または販売されていて、過去にその内の幾つかを購入した経験はありますが、結局いつもapple純正の音楽再生アプリに戻っていました。

しかし今回は決別する訳ですから、覚悟を決めて選定し直す必要があります。

選定にあたり、以前入手していた「Westone Audio」「Denon Audio」「KaiserTone」の3種を改めて使ってみましたが、それぞれ微妙にインターフェースや操作性に難を感じたので今回は除外しました。ちなみにこれらのアプリの名誉の為に付け加えますが、どのアプリも独自の機能と素晴らしい音質を併せ持っています。特にKaiser Toneはハイレゾ再生にも対応しています。

ONKYO HF Playerという存在

さらに色々な記事等を参照した結果、ONKYOの「HF Player」に心惹かれたので入手してみました。私が最近まで知らなかっただけなのですが、以前からかなりの高評価を得ている無料のアプリで、App内課金することによってハイレゾ再生機能が実装できます。私の場合はappleロスレスの48kHzだけを再生するので今の所この機能は必要ありません。実質無料の状態で利用しています。

HF Playerの特徴

上記のようにハイレゾ再生に対応しているのがHF Playerの一番のセールスポイントですが、最大の特徴と言えるのは精彩なイコライジング設定です。Anthraxのギタリストであるスコット・イアンなど、様々なジャンルのプロミュージシャンが独自に設定したプリセットを利用できるほか、自分好みのイコライジングを作成、保存することも可能です。iPhoneの画面でイコライザのスライダーを操作するのは至難の技ですが、慣れてくると素早く作成できるようになります。また曲毎のフォーマットとサンプルレートを表示してくれるのも気が利いていると思います。appleロスレスの場合はALACと表示されます。

しかし私がこれに決めた最大の要因はアートワーク表示です。これまで試した音楽再生アプリの中で最も以前のapple純正音楽再生アプリの面影を残していると感じました。情報表示の際に回転するジャケットも、以前のiOSでは出来たカバーフローを彷彿とさせます。また初期には実装されていなかったそうですが、アップデートによってapple純正EarPodsのリモコン機能に対応しています。これはEar Podsを利用している身にとっては嬉しい機能です。ちなみに使用するイヤホンを選択する設定画面で実際にEar Podsをセレクトできます。

唯一不便に感じた部分は、iTunesライブラリの変更が反映されない場合があるところでしょうか。具体的にはiTunesライブラリの情報を変更後すぐにHF Playerアプリを立ち上げるとアルバム別の表示がおかしくなり、変更箇所が不明と表示されます。これを回避するにはHF Playerの設定画面でリセットをかけるしかありません。自然に変更が反映される場合もありますが、現在のバージョンで一番確実な方法はこれかアプリの再インストールだけです。ちなみに設定をリセットすると作成したイコライザのパターンも消えて無くなりますので多少の覚悟が必要です。

音質は間違いなくapple純正音楽再生アプリの上を行っていると思います。過剰なイコライジングを施さない限りはクセのない音で鳴ってくれます。私は主にアートワーク問題でこのアプリを利用することになったのですが、全体的な音の良さは嬉しい誤算です。ONKYOという大御所メーカーの名に恥じない立派な音楽再生アプリだと言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回はアップデートを機に思わぬ展開になってしまいましたが、良質なアプリに救われた格好になりました。これでしばらくはiPhoneでの音楽再生が楽しめると思います。