My diary.

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Fiio X1のご紹介 (ハイレゾ始めました:連載第2回)

はじめに

私はiPhone5sに代わる音楽再生プレーヤーとしてFiio X1を購入しました。動機は前回の連載に詳しいのでご覧いただければ幸いです。今回はハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーであるFiio X1の製品概要並びに同時購入したハイレゾ対応イヤホンについてレビューします。

Fiio X1製品概要

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製品が収められている外箱です。高級ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーが収められている豪華な箱と比べると若干簡素な印象を受けます。

製品本体にはシルバーとゴールドという2色のバリエーションがありますが、外箱はデザインが統一されている為、例えゴールドを購入しようと箱に印刷されている製品写真はシルバーのままです。ただし中に入っている製品の色が分かるように箱の表面にはチェックマークが入っています。

Fiioは中国に本社を置くメーカーです。その製品に偽物やコピー品が存在するとは考えにくいのですが、どうやら不正に製造された個体が少なからず出回っているようです。自分が入手した個体がFiio社が認定する本物の製品であるか調べたい場合は、箱の上部に貼られているスクラッチを削り、シリアルナンバーを出します。その番号をFiio社の公式HP右上にあるCheck Authenticityをクリックして入力すると、多言語で認証結果が表示されます。ちなみに私が購入した製品は本物でした。

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パッケージ内容物

箱の内容物。Fiio X1本体は画面右のクッション性の高い外枠にシリコン製カバーを装着した状態で収められていました。

私は日本のAmazon並行輸入品を購入しました。その際出品業者によってはサービスで日本語説明書を付けて発送してくれる場合があります。日本国内での保障やアフターサービスが気になる方は正規販売代理店であるオヤイデ電気が販売する製品を購入すると安心です。平行輸入品に標準で付属する物はFiio X1本体を保護するシリコンケース、画面の保護フィルム2枚(最初から製品に付いている物を除く)、USBケーブル、Fiio社の保証書とクイックスタートガイド(多言語表記、但し日本語表記は無し)、そして本体を飾ることが出来るステッカー3種類です。また、私の製品には海外のハイレゾ配信サイトHDtracks.comの宣伝チラシが封入されていました。

Fiio X1本体について

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電源投入後に表示されるFiio X1起動中の画面。本体操作可能になるまでの所要時間は約8秒ほどです。

まず最初に気になるのは初代iPodに酷似した外観です。特徴的なメカニカルホイールの物理的回転はまさに往年の名機そのものです。本体画面がタッチ式のパネルではない為、操作はこの初代iPodと同じメカニカルホイールと上下左右に設けられたボタンで行うことになります。初代iPodでも問題になったメカニカル方式を採用しているが故のホイール部分の緩みや劣化は、同じ方式を採用しているFiio X1でもいずれは起こりうる現象でしょう。ちなみにappleが製造してきたiPod Classicタイプのホイールにはこの他にタッチホイール、クリックホイールという異なる入力方式が存在しますが、現在は全ての製品が生産を終了しています。

電源のON/OFFは本体左上のボタンを長押しして行います。ボリュームコントロールボタンの位置は電源ボタンの真下です。本体のみの状態で各種ボタンを押すと確実なクリック音がしますが、シリコンケースを被せると音は非常に小さくなります。

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購入当初はシリコンケースが装着された状態で箱に収められているFiio X1ですが、このままでは後述するmicroSDが挿入できないので、一旦外す必要があります。無論シリコンケースを外して本体のみで運用しても何の問題もありません。シリコンケースはフードを脱ぐように本体窓側の上部を力技で広げて外します。几帳面な方は抵抗を覚えるかもしれませんが、頻繁に脱着を繰り返さなければ、シリコンが切れてしまったり、広がりすぎてブカブカになってしまうという事はないと思います。少なくとも私のシリコンケースは今のところ何の問題もありません。

ストレージ

Fiio X1には音楽記録用の内部ストレージが存在しない為、ユーザーは別途microSDカードを用意する必要があります。ちなみにmicroSDのカードスロット数は1つです。Fiio X1は最大で128GBまでのmicroSDカードに対応していますが、全てのメーカーや規格に対応している訳ではないので、選定には慎重を要します。class6以上の規格が推奨されており、動作確認済みのカードはweb上にも事例として挙がっている場合が多いので、素直に従ったほうが良いでしょう。私はTranscend社のclass10/64GBを使用しています。

SONYハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーWALKMAN NW-A20シリーズには標準で16GB〜64GBの内蔵メモリが確保されており、さらにmicroSDによる容量拡張が可能な為、価格帯が近い本製品と比較すると容量面ではアドバンテージがあります。NW-A20シリーズで内蔵メモリとmicroSDを合わせた最大メモリ搭載量は192GB、本製品の場合は最大で128GBです。

本体を動かすファームウェアの更新を行う場合はFAT32でフォーマットされた32GB以下のmicroSDカードが必要です。私の製品は最初からver1.4だったので書き換える必要はありませんでした。ファームウェアの更新については日本の正規販売代理店であるオヤイデ電気の公式HPに詳しい手順が記載されていますので、もしアップデートする場合は一度参照することをお勧めします。

実際に曲を入れるmicroSDカードはFiio X1本体でFAT32にクイックフォーマットする事が可能ですが、ハイレゾファイルを再生中に突発的な音飛びが発生する確率が高まるので注意が必要です。ファームウェアが最新の状態であればPCに接続し、exFATで完全にフォーマットすれば万全です。この完全フォーマットは環境にも左右されますが64GBのメモリでおよそ2時間半ほど掛かります。私は最初Fiio X1本体でクイックフォーマットをして音飛びが発生してしまったので、万全を期してこの長時間コースを選ぶ事にしました。この問題は購入前から既知の事象でしたが、自分が遭遇して確信に至りました。音楽ファイルを記録するmicroSDは完全フォーマットする事を強く推奨します。

曲管理の実際

FiioにはiTunesのような楽曲管理ソフトが存在しません。よって曲を取り込む方法は至ってシンプルです。フォーマット済みのmicroSDをPCに接続し、PCに収められた曲をmicroSDにフォルダごとコピーするだけです。私は頻繁にmicroSDの内容を変えるので、一々シリコンカバーを取り外さなくても済むようにFiio X1にmicroSDがセットされた状態で本体をUSBケーブル経由でPCに接続しています。

Fiio X1ではプレイリストによる曲管理が可能ですが、私は利用していません。過去にiPodiPhone5sで音楽を聴いていた時にも一切作成しなかったので、今後もこのスタンスで行く事にします。

曲をコピー&ペーストする方法を手持ちのiMaciTunesを例にとって説明しますと、まずはFinderでiTunesの楽曲が収められている階層を表示します。Macintosh HD→ユーザ→任意のユーザ名→ミュージック→iTunesiTunes Media→Musicという流れです。

Fiio X1本体をUSBケーブルで接続するとiMacがFiio X1を認識し、画面にアイコンが現れます。もしかすると最初は表示される名前が違うかもしれませんが、右クリック「情報を見る」から簡単にリネームする事が出来ます。先にFinderで開いておいたMusicフォルダのウィンドウとFiio X1を開いて表示されたウィンドウを並べておくと作業状況が容易に把握できて便利です。後はFiio X1に入れたいアルバムをコピー&ペーストすれば転送は完了です。一度に大量のファイルを転送する場合はそれなりに時間が掛かります。

Musicフォルダをコピー&ペーストするのが最も手早い方法ですが、Fiioはフォルダの階層をそのまま表示するので、Musicという余計な階層が増えてしまいます。私はこれを回避する為アーティスト毎にフォルダをコピーするようにしています。

フォルダの長所はアーティストの名前がついたフォルダに各アルバムが格納出来る点にあります。ただしアーティスト別で管理する場合、多くのアーティストが存在するとホイールでスクロールして探る時間は増しますので、自分がアクセスし易いようにフォルダ階層を整えても良いでしょう。iTunesのフォルダ構造に拘る必要は無いのです。

イヤホンを準備する

Fiio X1にはイヤホンが付属していません。これもユーザーが用意する必要があります。私はiPhone5s付属のEarPodsを壊してしまったので、新たに購入する事にしました。ハイレゾの恩恵を十分に受けたい場合はヘッドホンという選択肢になるかと思いますが、主に歩行時に音楽を聴く私のライフスタイルでオーバーヘッド型はどうにもかさばる印象がありましたので、今回はインナーイヤー型のイヤホンに絞って選考しています。

最近はヘッドホンやイヤホンに日本オーディオ協会が定義するハイレゾ対応認定ロゴが付いた製品をよく見かけます。一見このロゴが付いていないとハイレゾ音源を聴く事が出来ないかのように思えてきますが、例えロゴが付いていなくても、10年以上前に生産された製品であろうとも、ハイエンド製品であればハイレゾ音源も問題なく聴く事が出来ます。ただ、このロゴが付属するイヤホンやヘッドホンは、幅広い帯域の再生を行う事が出来るという日本オーディオ協会の認定を受けた製品なので、購入時の一定の基準にはなると思います。

音楽の最終的な出口としてヘッドホンやイヤホンは非常に重要です。メーカー毎の製品特性の違いが最も体感し易いので、予算を割くだけの価値はあります。ただ、今回はハイレゾ入門編としてFiio X1を購入したので、イヤホンも安価かつ費用対効果が高そうな製品を探しました。予算の関係もありますが、まずは自分の中にはびこっていた「ハイレゾを聴くのにはお金が掛かる」という先入観を打破したかったのです。

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ELECOM EHP-CH1000

今回購入したのはELECOMのEHP-1000GDという製品です。Amazonで安価で販売されていたので最初に目に付いたのですが、発売後から現在に至るまでユーザーレビューは概ね好評で、各所の製品レビューでも一種の驚きを伴って紹介されていたのが気になりました。総じてコストパフォーマンスに優れた製品であるという印象を持ちました。ちなみにこの製品にもFiio X1と同じくシルバーとゴールドの2色が存在します。

ELECOMの説明によると、この製品は高剛性真鍮製ハウジングと高剛性振動板を採用する事により音の振動と歪みを抑え、世界初の音孔構造が低域から高音域のスムーズな再生を可能にしているとの事です。私は早速このイヤホンをFiio X1に接続し、転送した手持ちの16bit/44.1kHzと24bit/96kHzの音源を聴いてみました。

音質の傾向

Fiio X1を通してEHP CH-1000を使用した第一印象は「硬質な感じがする音」でした。どうも付属のイヤーピースが私には合わなかったようです。後日イヤーピースをJVCの交換用イヤーピースEP-FX9M-Bに変えたところ、全ての音域が偏り無く再生されているように感じました。低音も高音も均一に出力されている印象です。この試聴時にFiio X1のイコライジング機能は利用していません。以前利用していたiPhone5sとEarPodsの組み合わせと比べると音場そのものに明確な違いがあり、同じappleロスレスのファイルでも物によっては鳴り方が劇的に変化します。

ちなみにFiio X1本体のボリュームは100段階で調節できるので、iPhone5s本体では不可能だった小刻みなボリュームコントロールにより適切な再生音量が得られます。ハイレゾからAACなど、サンプルレートが異なる曲を続けて再生するときに「ププッ」というノイズが聞こえますが、これはFiio X1本体の仕様です。

Fiio X1本体がゴールドなのでこのイヤホンの真鍮部分は非常に良く馴染みます。ただし真鍮は重みがあるパーツなので、人によっては装着時に耳に負担が掛かるように感じるかもしれません。耳の穴に合った適切なイヤーピースを使用すれば多少重みは分散出来ます。

ELECOMというメーカーがオーディオの世界では長年重要視されていなかった認識があったので意外でしたが、他のオーディオメーカーには無いノウハウを培って来たのではないかと感じました。純正イヤーピースが合わなかったのは少し残念ですが、製品には各種サイズが同梱されているので合う方もいると思います。未使用時にイヤホンを収納できる小型ポーチを付属するなどの配慮も好印象で、総じて良質な製品だと思いました。

まとめ

今回は低予算でハイレゾの世界に飛び込んでみましたが、概ね期待通りの結果になって良かったと思います。一番危惧していたのは「これだけ投資してiPhone5sと音に違いがなかったらどうしよう」という事だったのですが、 その不安は見事に払拭されました。昔コンポにヘッドホンを挿して音楽鑑賞をしていた頃の純粋な感動を再び体験できたような感覚です。

ハイレゾ音源の惜しい点は一般的に分かりにくいファイル形式や再生までの道程です。しかし面倒な一歩を超えたところに思わぬ感動が待ち構えている事は体験して良く分かりました。私はこのFiio X1購入をもってiPhone5sでの音楽再生からは卒業する事にします。現在は外出時のみならず、寝る前の僅かな時間にこのプレーヤーで音楽を聴くのが一番の楽しみです。

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