My diary.

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CPUクーラーの設置(自作PC始めました:連載第8回)

はじめに

私はMSI製のマザーボードX99S SLI PLUSにintelのCPU i-7 5820Kを設置しました。次にSanMaxのメモリを所定の位置へ挿し込みます。マザーボードにはメモリスロットが8本用意されていますが、購入したメモリは4枚なので、クワッドチャネルで正しく動作するスロットを最初に説明書で確認しておきます。まずは固定用ラッチを広げ、その後メモリを差し込みます。この時メモリ全体に均等に力が加わるように上部から押し込むと水平に差し込めます。ちなみにX99S SLI PLUSのメモリ固定用のラッチは片側のみという仕様です。メモリを差し込んだ後、ラッチがメモリ上部にきちんと噛み合うのを確認します。私の場合一箇所でラッチが自動的に戻らなかった為、手動で固定しました。もしかしたら製品で個体差があるかもしません。少し気にはなりましたがメモリ自体はきちんと差し込めたので良しとします。これでメモリ設置作業は終了です。

次はいよいよマザーボードをPCケースへ組み込みますが、その前にCPUクーラーを設置する必要が出てきます。自作PCに決められた組み立て順序は存在しません。ただし順番を間違えると取り付けが困難になるパーツが出てくるのも事実です。CPUクーラー、特に空冷タイプに関して言えば、マザーボードに取り付けてからケースに組み込む方が作業は楽になる傾向があります。

水冷と空冷

CPUクーラーには空冷と水冷(簡易水冷と本格水冷)という異なる冷却方式があり、どちらを選択するかはユーザーの好みや使用するPCのスペックに依存してきます。出回っている製品点数が多く、価格帯や本体サイズの選択肢が幅広いのが空冷式のCPUクーラーです。空冷式の大まかな仕組みは、CPU表面に発生する熱をベースプレートに伝導させ、さらにその熱をヒートシンクに送り込み、取り付けたファンで冷却するというものです。一方水冷式のCPUクーラーはCPUに密着させたヘッド部分にポンプで冷却水を送り込み、反対に熱を吸って暖かくなった冷却水はラジエーターに送って放熱させ、再度ヘッド部へ送り込むというサイクルで循環する仕組みです。基本的にはオールインワンで完結するのが簡易水冷、パーツの自由度が高いのが本格水冷という考え方で良いと思います。水冷式の場合はヘッド部が小型なのでCPU周りは非常にすっきりとした印象になります。しかしラジエーターとファンを同時に設置させる関係上ある程度のスペースが必要となるので、購入時にはケース内部の広さとパーツのクリアランスに注意が必要です。

intelは通常ボックスで販売するCPUには標準で純正のCPUクーラーを付属させます。ただし今回購入したi-7 5820Kは商品構成がCPUのみとなっていて純正CPUクーラーは付属しないので、別途調達しなくてはなりません。

Corsair Air 540のオーナーが投稿する画像を検索すると、よく簡易水冷や本格水冷のCPUクーラーを設置している写真を目にします。このケースを選ぶユーザーの殆どは強力な冷却を必要とするシステムを組んでいるようなので、一般に空冷よりも冷却機能が高いとされる水冷式CPUクーラーが選ばれるのでしょう。写真で見てみると、ケース上部に大型ラジエーターを搭載したCorsair Air 540は実際水冷化前提で設計されたのではないかと思えるほど絵になります。

 CPUクーラーは価格帯が幅広く、製品のバリエーションも多いので、ゼロから選ぶとなると大変です。具体的にはCPUのTDPをカバーできる冷却能力があるかという点と、他のパーツやPCケースとのクリアランスが確保できるかを考慮して決めるのですが、Air 540は内部空間が広いので、空冷や水冷を問わず殆どの製品を搭載出来てしまいます。そこで私は始めに現在入手可能な各種CPUクーラーの性能を比較した記事やレビューを参照する事にしました。

CPUクーラー「虎徹」の存在

CPUクーラー製品全般を調べて分かったのは、性能と価格は必ずしも比例するわけでは無いという事です。簡易水冷や本格水冷は特にTDPの高いパーツを冷却するために開発された側面を持つため、ほぼ全ての面において空冷に勝るのは当然の結果と言えます。しかし空冷の中にも優秀な冷却性能を持つ製品が存在します。その中の一つがサイズ社のCPUクーラー「虎徹(こてつ)」です。以前から雑誌等でその存在は知っていましたが、私は当初簡易水冷の導入を考えていたので、なんとなく横目で見ていた感じでした。しかし今回改めて色々な記事を拝見すると、コストパフォーマンスに優れた素晴らしい製品である事が段々と分かってきました。ユーザーレビューでの評価も高く、専門誌も概ね太鼓判を押しています。私が気になったのはi-7 5820KのTDP140Wをきちんと冷却出来るのかという点でしたが、実際に雑誌でX99S SLI PLUSとi-7 5820K、そして虎徹という組み合わせが制作事例として掲載されていたので、これは間違いないと判断し、早速購入する事にしました。

虎徹製品概要と取り付け

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虎徹はサイズ社が販売する空冷式CPUクーラーで、ヒートシンク側面から付属のファンで風を取り入れ、後方へと送り流す「サイドフロー」と呼ばれるシステムを採用しています。intelAMDのソケット形状に対応するユニバーサル仕様で、もちろん私が所有するCPUのソケット形状LGA 2011-v3にも対応します。多数のソケット形状に対応させるために付属の部品が多く、使用しない部品が必ず出てくるので、最初に説明書と照らし合わせて余計な部品は除外しておくと良いでしょう。

虎徹はブリッジ式リテンションと呼ばれる取り付け方法を採用していて、CPUの熱を吸収するベースプレートの上に金属製のブリッジを渡してマザーボードに固定します。固定に使用する金具は裏表を間違えやすいので注意が必要です。

大半のマザーボードはPCケースに組み入れた場合、垂直に立った状態で固定されます。それに伴いCPUクーラーも90度傾くことになるので、真横からマザーボードに固定される状態になります。大型のヒートシンクを持ち、重量がある製品ほど接続部に負荷がかかるのがご想像いただけると思います。intel純正のCPUクーラーはそれほどでもないのですが、最初に大型のヒートシンクを持つ空冷式のCPUクーラーを見た時には「こんな大きなパーツを最終的に垂直になるように取り付けて大丈夫だろうか」と思ったものです。しかし虎徹のブリッジ式固定方式ならば左右だけではなく中央からも固定されるので、結果負荷は分散され、取り付け構造は安定します。

ベースプレートはCPUと密着させる部分ですが、この2つの部品を合わせる前にベースプレートを保護しているフィルムを剥がし、CPU上面に熱伝導率を高めるグリスを塗布します。グリスには様々な種類が存在し、材質によって熱伝導率に違いがあるようですが、私は初心者なので素直に虎徹に付属するグリスを使用しました。グリスの使用量や置き方、塗り方は人によって違いがあります。私は「多からず、少なからず、均一に」を心がけて指で塗布を行いました。ただしこのグリスは少し水で洗った程度では落ちませんので、指に付くのが嫌だという方にはヘラのような道具を使用する事をお勧めします。

虎徹のベースプレートはCPUの面積よりも小さかったので、虎徹本体の固定後に塗布したグリスが少し上から見える状態になってしまいましたが、これを拭き取るとせっかくの熱伝導素材の意味が半減しそうな気がしたので、そのままにする事にしました。

付属のファンについて

虎徹には標準で「隼120 PWMモデル」という120mm口径のファンが付属します。PWMというのはPulse Width Modulationの略で、自作PC用ファンの場合は回転数が制御できる事を意味します。ファンの軸部分には鎌を組み合わせた特徴的なロゴを持ち、黒一色のブレード部分にはスリットが入っています。ファンの最大回転数は約1400rpm。ただし通常使用時にはまずこの数値まで上昇する事はありません。私は取り付け後にBIOSからファンの回転数を確認してみましたが、1000rpmを超えなければ風切り音は気になりません。ファンの中では比較的静かな部類に入ると思います。

ヒートシンクに取り付ける際には専用のワイヤークリップを使用します。私は最初CPUクーラーの大半がこの取り付け方式を採用している理由が分かりませんでしたが、ヒートシンクの段差を利用して取り付け位置を上下に調整する事により、メモリとヒートシンクの干渉を回避することが出来ると知って納得しました。

虎徹付属のワイヤークリップはファンとヒートシンクをしっかり固定する事が可能です。慣れないうちは少し手こずるかもしれません。ただしコツを掴めば作業はあっという間に終わります。作業時に触れることになるヒートシンクは薄い金属板の集合体なので、力を込めて握ってしまうと思わぬ怪我に繋がる可能性があります。この点には十分注意が必要です。

ファンケーブルはマザーボードのCPU FAN1と書かれたコネクタに接続します。ただしケーブルが少し長かったので、私はファンの外周に沿って一旦ケーブルを回し、そこから無理のない角度でコネクタに接続しました。

まとめ

虎徹にはヒートシンク上部にロゴが浮き彫りになった黒い化粧板が付いています。マザーボード組み入れ後はこの化粧板が一番良く見える部分になるのですが、PCケースとマザーボードが黒を基本とした配色なので、調和がとれたように感じます。派手なギミックやLED発光はありません。数ある汎用型CPUクーラーと比べると地味な部類に入ると思います。しかしそれら全てが確かな冷却性能を純粋に求めた結果なのだとすれば、これはこれで完成された素晴らしいデザインだと言う事が出来るのではないでしょうか。

 

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