My diary.

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ケースを選びます(自作PC始めました:連載第2回)

はじめに

何かを新しく始めるには、前進するためのエネルギーが必要です。何か具体的な目標を立てれば、それに向かって一歩ずつ前進していく事ができます。

私の場合は「パワフルなPCを手に入れる」という目標を立てました。具体的には現在所有するiMacよりもグラフィック性能に優れたPCを自分の手で組み立てて手に入れるという目標です。そして、組み立てた自作PCで快適に作業をしている自分を想像し続けることが前進するエネルギーとなりました。

何を始めるにせよ、新しく物事を始めるのは楽しいものです。それについては全く知らない事だらけなので、様々な知識が新鮮に吸収でき、脳も活発に動くような気がします。金銭的、物理的制約などは個々の事情で必ず発生するでしょう。しかしそれらを逆に楽しんで乗り越える力も人間は持っていると思います。

初心者の私が取り組んだこと

さて、一体自作PCはどこから始めたら良いのでしょうか?まず最初に私は本を読んでみました。初心者が組み立ての全体的な工程を把握できるような図解入りで記述されているものです。

自作PC関連の出版物を入手する場合、なるべく最近出版されたものを選ぶ方が情報が新鮮です。現在世の中に出回っているパーツも豊富に掲載されているので、それらの価格帯も参考になるでしょう。あまりに古い雑誌や書物の場合、現行品が掲載されていない場合があります。

自作PC用パーツの規格や性能はその時代によって刻々と変化していますが、「パソコン」という完成した物を構成する為の部品はそれ程多くありません。CPUとCPUクーラー、マザーボード、メモリ、HDDもしくはSSDのストレージ、状況に応じてグラフィックカードや内蔵型ドライブ、そして電源ユニット、最後にそれらを全て収納するためのPCケース。これらを組み立てれば自作PCの本体は完成します。

PCケースの選定

私は最初にPCケースを購入することにしました。人間で言えば体にあたる部分です。

現在所有するiMacは一体型でスタイリッシュな筐体が魅力のデスクトップ型PCです。主要パーツがノートPC向けの部品であることが一部性能の頭打ちを発生させていますが、省スペース、省エネであるという利点はそれを補って余りあります。私は以前その美しさと佇まいに惚れて購入したのですが、今回新たに組み上げる自作PCでは、そのデザイン性ゆえに犠牲となっていたグラフィック描画を司るGPU機能を完全なデスクトップ仕様にしなくてはなりません。

デスクトップ向けの高性能なグラフィックカードはとても大きなパーツであると共に、一定以上の冷却を必要とするため、ある程度大型で風通しの良いPCケースに入れるのが良さそうです。apple社は新しいMac Proで高性能なグラフィック機能と小さな筐体を両立させることに成功していますが、今回選択肢には加えていません(理由は前述)。

よって、私は「apple縛り」と共に「デザイン縛り」も捨てる事にしました。洗練されていない武骨で力強い外観。およそappleが発表しないような真逆のデザイン。この条件でPCケースを探してみました。そこに浮上したのがCorsair Air 540というPCケースです。

Corsair Air 540

この筐体については国内外問わずインターネット上に情報が豊富に出回っているので、製品検討時に非常に参考になりました。CorsairはアメリカのPCパーツメーカーで、ケース以外ではキーボード、そして独特の外観と機能を併せ持つハイグレードなメモリを販売していることでも有名です。私は大手家電量販店でこのケースを見かけて一目惚れしました。いかにもアメリカ生まれの製品らしくその筐体は非常に巨大で、見た目のインパクトは絶大ですが、日本の住宅事情を鑑みるとこの筐体をモニターと並べて机の上に置くことが出来る方は限られてくると思います。デザインは気に入ったがボディの大きさが気になる、という方は同デザインでこれよりも一回り小さいAir 240という製品がありますので、そちらを視野に入れても良いでしょう。

Corsair Air 540は2013年に発売されました。明確な定価は設定されていませんが、実勢価格は現在流通している自作PC用ケースの中では比較的高めの1万円台後半となっています。自作PC用のケースは小型から大型までユーザーの用途によって様々な種類が存在し、またその価格帯も幅広い設定がなされていますが、組み入れる予定のパーツが全てしっかりと収納できる大きさを選ぶことが重要です。私がこの筐体を選んだ理由は、ハイエンドのパーツを組み込んだ際のクリアランス、そして使用時に発生する排熱処理が無理なく行えそうな印象を受けたからに他なりません。また、内部の体積が大きいという事は、それだけアクセスや作業を容易にします。さらに大型の筐体はパーツを繋ぎ合わせる際の配線の段取りで頭を悩ませる確率も低くなります。まさに初心者の私にうってつけなケースです。

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製品概要

キューブ型の筐体は内部で二つの部屋に仕切られています。正面左側のチャンバーはマザーボードとCPU、グラフィックカードを入れるエリアです。CPUクーラー及びケースファンもこちら側に設置する形になります。また、底面部には主にHDD用のストレージ置き場があるので、お好みで設置する事が可能です。

右側は電源ユニット及びSSDを置く為の所謂ストレージエリアです。任意で内蔵型ドライブも設置可能です。電源から延びる各種配線はこのチャンバーにまとめておくことが出来るので、自作PCで良く見かける裏配線に頭を悩ませる必要は殆ど無く、結果左側のチャンバーは非常にすっきりとした外観を保てます。

最大の特徴は正面左側のサイドパネルにアクリルの窓が付いている点です。これによって中に組み込んだマザーボードグラフィックカード等のパーツを常に目視で確認することが可能です。電源ユニットやSSD、内蔵型ドライブは壁を挟んだ別の部屋になるので見えません。

このケースを所有するオーナーの大半はそうしていますが、ケースファン等にLEDで発光するパーツを使用すれば、より「自作PC」らしさを演出する事が出来ます。当たり前のことですが、LEDのパーツを多用したところでPC本体の性能が伸びる訳ではありません。これはあくまで遊びの部分であり、完全に自己満足の世界です。それでも起動時にLEDによって光り輝く筐体は何かロマンのようなものを感じさせてくれるのも確かです。このLED装飾文化は主にPCゲーマーによって培われ、広められたものだと思いますが、LEDの発光に魅せられるという現象は万国共通なようで、世界中のCorsair Air 540オーナー及び自作PCユーザーが自慢の光り輝く筐体の画像を投稿しています。

こう書いていくと良い事づくめに聞こえるかもしれませんが、実はこのCorsair Air 540には最大の弱点があります。それはエアフローの確立と排熱処理を容易にするために数多く設けられた空気口です。最近自作PCの世界では密閉性を高め静音に優れたPCケースが注目を集めていますが、この筐体に限ってはそれは当てはまりません。

基本的に騒音の発生源は各種ファンです。発熱の高いパーツを冷却するためには大口径のファンもしくは複数のファンが必要とされ、結果騒音を招きます。ケースが密閉状態であれば音漏れは防げますが、内部に溜まった熱の排出で問題が生じる可能性が高まります。

Corsair Air 540はその筐体の大きさを見てお分かりの通り、TDPの高いハイエンドパーツの組み込みや大型ファン、水冷用ラジエーターの搭載を想定して設計されています。その為ほぼ全ての面に空気口が設けられているので、エアフローの確立と排熱処理については全く問題ありませんが、その全ての空気口からファンの駆動音が漏れ伝わってきます。

この空気口はもう一つの問題を引き起こします。それは埃の侵入です。これだけ盛大に穴が開いていると埃は常に容赦なく侵入してきます。幸い製品には購入時に黒いカバー布が同梱されていたので、私は未使用時にはいつもこれで本体を覆うようにしています。

まとめ

今回は最初に購入するパーツとしてPCケースを選びました。私が購入したCorsair Air 540は大型なので、各種規格によってサイズが異なるマザーボードの選択肢は結果的に全て残されている事になりました。逆に小型のPCケースを選択すれば必然的に入れられるマザーボードの種類は限定されてきます。PCケースを先に選ぶ必要はありませんが、もしこの方法を採る場合は最終的に自分がどのような自作PCを作るのかを明確に思い描く必要があるでしょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。